パケットロス
Packet Loss
ネットワーク通信において、送信元から送られた細切れのデータ(パケット)の一部が、通信経路の混雑や機器の不具合によって途中で消失し、目的地(受信側)に届かないトラブルのことです。オンラインゲームの「ラグ」やビデオ通話の映像の乱れを引き起こす主な原因となります。
🐾 猫で例えると?
キャットタワーのハンモックに収まり、上の棚をじっと凝視している茶トラ。「飼い主がチュールを投げてくれたはずなのに、いつまで経っても落ちてこない…」と、空を切り続ける視線。これはまさに、サーバー(飼い主)が確かに送信したはずのデータ(チュール)が、空間のどこかで引っかかったり紛失したりして、クライアント(茶トラ)の口元に到達しない「パケットロス」の虚無状態を体現しています。
🐾猫あるある:IT現場の日常
- おもちゃを追いかけて家具の隙間で見失う: ネットワークの混雑や経路上の通信機器の処理能力超過(バッファフル)により、転送中のデータパケットが途中で破棄・消失する現象(パケットドロップ)。
- 飼い主の呼びかけを完全に無視してスルーする: 送信されたデータが宛先へ到達しない、あるいは損失したために応答が途絶え、Webサイトの表示遅延や音声・映像の途切れ(データ欠損)を引き起こす通信障害。
- 投げられたおやつが口に入らずどこかへ転がっていく: 受信側の処理遅延や回線のノイズなどの影響で、サーバーから送出されたパケットが正確に受信されず、TCPの再送制御などによる再要求が発生している状態。
💻 IT現場における「パケットロス」とは?
インターネット上のデータは、すべて「パケット」という小さな小包に分割されてバケツリレーのようにルーターを経由して運ばれます。しかし、途中のルーターに許容量を超える大量のアクセスが集中したり(輻輳・ふくそう)、LANケーブルが劣化していたりすると、ルーターは処理しきれなくなった小包を容赦なく「破棄」します。これがパケットロスです。
ここで重要になるのが、通信プロトコル(TCPとUDP)の違いです。「TCP」は几帳面な性格なので、小包が届かなければ「チュール落としたからもう一回投げて!」と再送を要求します(ファイルのダウンロードなど)。一方、「UDP」は大雑把なので、「途中で落ちても気にせず次のチュール投げて!」と再送を諦め、とにかくリアルタイムのスピードを優先します(動画配信やオンラインゲームなど)。
⚠️ パケットロスの仕組みと確認方法
「なんかネットが遅い」「Zoomの声が途切れる」という時、インフラエンジニアはまず通信相手との間にパケットロスが発生していないかを調べます。
pingコマンドによるパケットロスの調査
最も簡単な確認方法は、ターミナルやコマンドプロンプトから `ping` コマンドを使って、定期的な生存確認(Keepaliveのような小さな信号)を送ることです。
# Googleのサーバー(8.8.8.8)へパケットを10回送信してロス率を確認する
$ ping -c 10 8.8.8.8
PING 8.8.8.8 (8.8.8.8): 56 data bytes
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=0 ttl=117 time=12.145 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=1 ttl=117 time=13.012 ms
# (中略)
--- 8.8.8.8 ping statistics ---
10 packets transmitted, 8 packets received, 20.0% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 11.512/12.445/13.881/0.655 ms この結果の `20.0% packet loss` のように、送ったパケットの何割かが返ってこない場合、どこかの通信経路に致命的なボトルネックや障害が発生している証拠となります。
🛠️ パケットロスを防ぐためのポイント
現場でネットワークの安定性を高め、パケットロスを最小限に抑えるための対策です。
- 有線LANの利用とケーブル品質の見直し: Wi-Fiは電子レンジの電波や壁の障害物で簡単にパケットロスを起こします。安定を求めるサーバーやPCは、必ずカテゴリの新しい有線LANケーブル(Cat6以上など)で接続します。
- ネットワーク帯域の確保とQoS設定: ルーターの設定(QoS)で、「ビデオ通話のパケット」を「ファイルダウンロードのパケット」よりも優先して通すようにVIP扱いすることで、重要な通信のロスを防ぎます。
- 中継機器(ルーターやスイッチ)のスペックアップ: 処理能力の低い古いルーターは、大量のパケットが押し寄せるとすぐに悲鳴を上げてデータを破棄します。おやつの圧がすごいアメショにも耐えられるよう、機材のスケールアップが必要です。
落ちてこないチュールを健気に待ち続ける茶トラですが、あまりにパケットロスが続くとタイムアウトを起こして寝てしまうかもしれません。システムも猫も、求めているデータ(おやつ)をロスなく確実に届けてあげることが、良好な関係(通信)を維持する秘訣ですね。